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なぜ諸外国に比べ日本ではコロナが経済に与えるダメージが特に大きくなるのか?

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者の増加に伴い、民意に応える形で安倍首相は緊急事態宣言を今週中に出すことを決めたわけだが、なぜ他国に比べこの手の宣言を出すのが遅くなったのだろうか? 今回はその理由について考えてみたい。


もちろん欧米諸国に比べコロナによる死者数が現時点で圧倒的に少ないというのも理由ではあるわけだが、やはり「経済への影響の程度」が肝なのだと思われる。


例えば、現在アメリカでは数百万人の失業者が出ている。これはもちろん深刻な事態ではあるのだが、専門家の意見によれば、全国民の6割程度が感染し免疫を獲得することでコロナの流行は収束に向かうわけで、経済の悪化はそのうち必ず底を打つことになる。


アメリカで大量に発生している失業者というのは基本的には「layoff」(レイオフ)、すなわち「一時解雇」された状態であるから、経済がある程度回復すれば元の職場に戻れるケースが多い。企業の幹部やオーナーからしても、以前雇っていた者を再雇用する方が色々な面で安心と言えるだろう。要は、完全に解雇されたわけではないのだ。


一方、日本社会ではこういった「一時解雇」というのは一般的ではない。自ら退職した場合であれば話は別だが、解雇された場合は基本的に再雇用というのはまずあり得ない。そもそも終身雇用がまだまだ社会に根強く残っている日本においては、正規雇用の従業員を解雇するということ自体が非常に難しく、整理解雇が実行されるような状況下においては会社の存続自体も極めて怪しいと言える。要は、日本では本格的に経済が悪化すると会社ごと丸々潰れてしまう可能性が他国よりもはるかに高いのだ。


したがって現実的には、日本ではまず真っ先に非正規雇用で働く者が解雇される。年度の切れ目であれば契約更新の拒否という形になる。その際なのだが、双方に「一時解雇」という概念自体が存在しないため単に「クビ」という形になるわけで、やはり失業した側としては非常に不快に感じることになる。「状況が上向いたらすぐまた連絡するから!」と言われて一時的に解雇されるのとは精神面で大きな違いがある。


日本社会においては人材の流動性が他国に比べ極端に悪く、雇用形態自体も非常に特殊だ。私は現在中国で働いているが、中国社会にはそもそも正規、非正規といった区分けは存在しない。ある意味全労働者が日本で言うところの非正規雇用であり、業績評価が厳格なため、十分でないと判断されたらいとも簡単に解雇される。ただ、人材の流動性が高いため解雇されても次の仕事は容易に見つかる。


一般的に、人材の流動性が高ければ個人の努力によってステップアップが可能なのだが、日本社会においては新卒で正規雇用の職に就くことが至上命題になってしまっている。だから、コロナの影響で経済が大ダメージを受け、そういった正規雇用の職を失う人が続出すると社会全体が深刻な傷を負うことになってしまう。そのため、「とりあえず今は人命第一で、、、」という選択が如何にもこうにもしづらくなってしまっている。要は社会構造上、日本は復興にやたらと時間がかかるのだ。


やはり新卒至上主義や終身雇用、年功序列などといった慣習は百害あって一利なしだなと、私は今回改めてそう感じた。