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体外受精を繰り返す日本人。あまりにも多過ぎる不妊治療関連の課題。

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今回は、近年日本で盛んな「不妊治療」について考えてみたいと思います。

 

不妊治療とは?


近年「不妊治療」は非常に一般的なものになりました。なんでも日本では、「赤ちゃんの約20人に1人」は体外受精で生まれるそうです。まさに「不妊治療大国」とでも呼ぶべき状況ですね。

 

不妊治療と一言で言っても色々とあるわけですが、大雑把に分ければ以下の3ステップです。

 

  1. タイミング法
  2. 人工授精
  3. 体外受精(顕微授精)

 

「タイミング法」は、女性側のホルモンの状態や卵胞のサイズを観察しつつ、排卵のタイミングに合わせてトライ、すなわちセックスをする方法。言うまでもなく、最も自然な方法です。

 

「人工授精」は、男性が提供した精液を洗浄して不純物等を取り除いた上で、排卵のタイミングで人工的に子宮内に注入する方法です。排卵誘発剤を用いる場合もあります。

 

「体外受精(顕微授精)」は、文字通り、採取した卵子及び精子を用いて体外で人工的に授精させ、受精卵を培養し、それが8分割または胚盤胞に達したら子宮に入れる方法。特に、顕微鏡で確認しながら1匹の精子を人の手で卵子に入れて授精させる場合は「顕微授精」と呼ばれます。

 

多過ぎる課題


当ブログは妊活ブログではありませんから技術的な話はこれ以上しませんが、現状日本では不妊治療に伴う様々な問題が発生しています。ざっと思いつくものを列挙してみると、こんな感じでしょうか。

 

  • 医師が自らの精液を使用する可能性。(少し前に海外で話題になりました。)
  • 第三者からの卵子や精子の提供により「親」の定義が揺らぐ。
  • 卵子や精子の売買は間接的な人身売買?
  • 遺伝情報に変更を加えることも技術的には可能?
  • 保険適用を求める声があるが本当に妥当?
  • 不妊治療に補助を出している地方自治体があるが本当に税金を使ってよいのか?
  • そもそも人工的な授精(神様の真似事?)は倫理的に問題ないのか?
  • そもそもこれは本当に「医療」なのか?
  • 体外受精の失敗を繰り返し止め時を見失う可能性。
  • 体外受精を繰り返すことによる経済的な負担。
  • ビジネス色が強くなる可能性。
  • 日本産科婦人科学会が示すガイドラインに従わない医師の存在。

 

とまあ、本当に色々あるわけですが、なかなか難しい問題が多いですね。個人的には、「そんなこと本当にやっていいのかな、、、?」なんて思う部分もありますし、子供が欲しいと願う人の気持ちが純粋なのも事実ですしね。あとはまあ、少子化という深刻な問題が現にありますから、子供を増やすことが国として重要な課題であることは間違いありません。

 

私は個人的にこの問題に関して非常に興味を持っているのですが、個別の課題に関する議論はネット上に溢れていますので、当ブログでは切り口を変えて、「現場」の声をお届けしたいと思います。あくまで一例ではありますが、少し前まで不妊治療専門のクリニックで働いていた看護師の知り合い(女性)から話を聞いてみましたので、以下対談形式でご紹介してみようと思います。

 

現場を知っている人の声


檸檬紅茶:ということで、今日はよろしくね。ぜひ色々と教えてください。

 

看護師:難しい問題が多いけれど、みんなで考えなきゃいけないことだと思うから、議論の種を提供できるのなら嬉しいよ。何でも聞いてね。

 

檸檬紅茶:それじゃあまず、実際に現場で働いてみて感じた率直な感想を教えて。

 

看護師:あくまで一つの意見として聞いて欲しいんだけれど、個人的には、不妊治療には「医療」の部分と明らかにそうでない部分があると思う。

 

檸檬紅茶:医療じゃない部分?

 

看護師:うん。ほら、例えば、ホルモンの分泌異常とか卵管の閉塞とか、もっと分かりやすい例ではそもそも生理がこないとか、男性の場合だと、無精子症とかっていうのは医療で何とかするべき問題だと思うんだよね。というか、そういうので困っている人たちを何とかするために、医師も看護師も頑張るわけじゃない。ただ例えば、30代後半でなかなか妊娠しないって相談に来て、一通り検査しても目立った所見がない場合は、もはや「患者」ではないと思うんだよね。だって、30代後半から女性が急激に妊娠しづらくなるなんて、大昔から分かっていたことじゃない。つまり、全く異常な状態ではないんだよ。

 

檸檬紅茶:なるほどね。放っておいて寿命が縮むわけでもどこかに痛みが出るわけでも何でもないわけだから、病気ではないということか。

 

看護師:例えばホルモンの異常なんかの場合、体全体に影響が出ることもあるから婦人科でしっかり治療した方がいいしね。生理が重過ぎたり、生理前に極端にメンタルが不安定になったりする場合に関しても治療法があるから、そういう「健康」に関係している場合はしっかり対応するべきだと思う。でも、「加齢に伴う不妊」っていうのはやっぱりちょっと違うよね。その場合は、治療を受けに来ている「患者さん」と言うよりは、サービスを受けに来た「お客さん」って感じがする。美容整形みたいに、「必要」ではないけれど精神的な充足感やQOL(人生の質)の向上のためのサービスって感じかな。

 

檸檬紅茶:その感じだと、やっぱり30代後半の患者さんが多かったの?

 

看護師:まあ全体的にはそうだね。でも、20代の人もそれなりにいたし、40代の人も結構多かったよ。

 

檸檬紅茶:20代で不妊に悩んでいる人なんて本当にいるの?

 

看護師:いるいる、全然いるよ。晩婚化とは言うけれど、二極化しているだけなんだよ。芸能人とか見ていてもまさにその傾向があるでしょ。早くから計画的に動くしっかり者の女の子って少なくないよ。若いのによく勉強していて、30代や40代の患者さんよりも関連する知識が豊富な人も少なくないし。

 

檸檬紅茶:へぇ〜そういうものなんだね。やっぱり、20代だと結構簡単に妊娠までもっていけるものなの?

 

看護師:まあそうね。生理周期が安定していないだけの患者さんなんかも少なくなくて、その場合はタイミング法だけで何とかなることが多いよ。あとは、女性が若い場合、旦那さんの方に原因があることも少なくないんだよね。年の差婚って結構よくあるでしょ。でも、男性も30代後半以降は加齢と共に精子の質が落ちるのよ。奇形率が高くなるのね。つまり、DNAが傷ついた精子が増えて、受精の確率がどんどん落ちるわけ。女性が若くても旦那さんは若くないってケース、結構あるしね。あとは、ストレス社会なせいか、若くても精液検査のスコアが悪い男性増えてるよ。

 

檸檬紅茶:男性不妊ってやつか。最近ようやく認知されてきた感じだよね。

 

看護師:そうね。でも、「男の年齢は関係ない」って思っている人、まだまだすごく多いよ。旦那さんが高齢の場合、子供が自閉症スペクトラムを示す確率が上がるなんていう話もあるわけだけれど、全然知られていないしね。まあ、自閉症って程度によってはそもそもわかりづらいから、ちょっと難しい部分もあるんだけれど。

 

檸檬紅茶:男も女も若い方が良いということなんだね。

 

看護師:そりゃそうよ。人間のライフスタイルが変わっただけで、生物としての機能に大きな変化はないんだから。10代後半が最も妊娠しやすいっていう事実は変わらないわ。

 

檸檬紅茶:一般的な理解として、女性は40歳あたりが限界っていうイメージがあるけれど、そのあたりはどうなの?

 

看護師:まず、さっきも言ったけれど、実際のところ40歳前後、いわゆるアラフォーの患者さんは結構多いよ。私が勤めていたクリニックは都心にあったんだけれど、東京には「バリバリ働いて気付いたらアラフォーになってた」みたいな人も多いしね。あとは、「35歳までは仕事に専念って決めていて、35歳から妊活を初めたけれど一向に妊娠しない。気付いたら40歳になってた」みたいな人も多かったよ。35歳に基準を置く時点で明らかに間違っているのに、、、

 

檸檬紅茶:最終的にそういう人たちは妊娠できたの?

 

看護師:ケースバイケースだけれど、初診の時点で40代だったらもうかなり厳しいよ。ほら、43歳で妊娠した芸能人が少し前に話題になったでしょ? だからまあ運が良ければもちろん妊娠可能だよ。でも、本当に運に依存した部分が大きくなっちゃうんだよね。この場合はもちろん一気にステップアップして体外受精メインでやっていくことになるんだけれど、あれってすごくお金もかかるしね。高齢の場合、1回で成功するなんてことはまずないから、当然のように何回も繰り返すことになる。そうなれば100万円単位の出費になるし、繰り返していくうちにどんどん老化は進むから、成功する確率も落ちていくしね。

 

檸檬紅茶:失敗が続いたらどんどん疲弊していきそうだよね。

 

看護師:それは何とも言えないかな。実際の患者さんたちを見ていると、「次はいけると信じています!」みたいな感じで、楽天的と言っては失礼だけれど、そんなに悲壮感は感じないことが多かったかな。

 

檸檬紅茶:まあそうでも思わなかったらやってられないよねきっと、、、

 

看護師:深刻なのは、「止め時を見極められない人が多い」ってことかな。みんな「次こそは、、、」って思うから、本当に止められなくなっちゃうのよ。先生だって「もうそろそろ諦めた方が、、、」なんて絶対に言わないし、そんなことそもそも言えるわけないし。あとは、そうやってズルズル続けてくれればそれだけ病院側は儲かるんだよね。志の高い先生もいるんだろうとは思うけれど、お金目的でこの分野に参入する医師も多いしね。私がお世話になったところの先生、既婚で子供3人もいるのに、スタッフとも関係を持っていたみたい。高いレベルの倫理観が求められる仕事なはずなのに、そもそもまずその程度の人間っていう、、、

 

檸檬紅茶:よく聞くような話だけれど、本当にあるんだね、、、そういうの。

 

看護師:いくらでもあるよ。不妊治療専門の医者が愛人孕ませて中絶を迫ったりとか、、、

 

檸檬紅茶:まあ医者って言ってもものすごい数いるわけだし、玉石混交だよね。ところで話を戻すけれど、それじゃあ不妊治療っていうのはいったいいつ始めるべきなのかな?

 

看護師:それなりの頻度で夫婦の営みがある状態で、1年経っても妊娠しないようなら受診した方がいいよ。あっ、でも、これはまだ20代とかで若い場合かな。既に30代なら、妊活を決意した段階で、とりあえず検査くらいは受けておく方が安心だと思う。その1年間が命運を分ける可能性もあるしね。例えば、仮に旦那さんの精液に深刻な問題があった場合、その状態でいくら行為を重ねても妊娠はできないし。あとは、生理周期がバラバラなんて人も結構いるけれど、その場合はタイミングを読むのもすごく難しいしね。そもそも日本人って行為の頻度も低いことで有名だし。

 

檸檬紅茶:となると、30歳以降はもうかなり真剣に取り組むべき問題ということなのかな?

 

看護師:そうね。妊活を始めて何年も経った後に旦那さん側に問題があることが判明した患者さんとか、「もっと早くわかっていれば、、、」ってみんな言うしね。やっぱり検査受けるのを嫌がる男性ってまだまだ多いんだよね。検査って言ったって、専用の容器に射精して提出するだけなのに。家で採取したものを奥さんが持参しても大丈夫だしね。

 

檸檬紅茶:えっ、あれって病院で出して提出するんじゃないの?

 

看護師:病院やクリニックにも依るのかしれないけれど、私が勤めていたところではどちらでも大丈夫だったよ。奥さんが持って来て、結果も奥さんが単独で聞きに来るケースも少なくなかったし。

 

檸檬紅茶:そんなに手軽に検査を受けられるのなら、妊活中の男はとりあえず自分のをチェックしてみるべきだね。

 

看護師:本当にそう思うよ。妊娠のために特に重要なのは、運動率の良い正常な精子の「密度」なんだけれど、こんなの検査してみないと絶対にわからないしね。

 

檸檬紅茶:精液の量とかが大事ってこと?

 

看護師:あまりにも量が少ないのは問題だけれど、そうじゃなくて、大事なのはあくまで「密度」。量が平均よりも多くても、すごく「薄い」場合があるのよ。密度が一定以下だと、もう自然妊娠は難しかったりするからね。

 

檸檬紅茶:となるとやっぱり、検査を受けないとわからないね。

 

看護師:そうよ。不妊の原因は男女半々だってことをよく理解した上で、不妊治療は二人で進めていく必要があるのよ。

 

檸檬紅茶:勉強になります。とにかく時間との戦いだから、男も積極的に動く必要があるんだね。女性の気持ちは女性が一番分かると思うんだけれど、女性に対して何か伝えたいことはある。

 

看護師:女でも普通にバリバリ働ける時代だから、「いつ妊娠するか」っていうのは本当に難しい問題だと思う。ただ、もしいつか子供が欲しいなら、「妊娠はしたいと思ったタイミングでできるようなものじゃない」ってことだけは理解しておくべきだと思う。その上で、何を優先させるかなんじゃないかな。何でもかんでも努力さえすれば叶うってものじゃないしね。「妥協」っていうとなんかネガティブな感じがするけれど、折り合いをつけるっていうか、人生においてはそういうのも大事なのかなって。私の場合、仕事よりも子育てを優先させたから、経済的には決して裕福じゃないし、社会人としてこれからすごく偉くなるのも難しいかもしれない。でも、別に後悔はしていないし、将来子供が大きくなったら胸を張って昔話をしてあげられると思う。「女はこう生きるべき」みたいなのがなくなった結果、私たちは自分の生き方を自分でしっかり決めなきゃならなくなったんだよ。そういう自由が保障されているんだから、自分で決めたことに関しては責任も持たないとね。だから、「35歳までは仕事に打ち込む」って決めたのなら、それはそれでいいと思うんだよ。ただ、私みたいに20代のうちから不妊治療を始めた人と結果が異なったとしても、もうそれは仕方ないんじゃないかなって。

 

檸檬紅茶:なるほどね。俺なんて望んだもののほとんどは手に入らなかったもんな、、、

 

看護師:「運」に左右されることも多いからね。30代後半で初めて彼氏ができて、そこから妊活を始める人なんかもいるしね。

 

檸檬紅茶:その結果、体外受精の終わりなきループに陥ってしまう人もいるわけか。止め時の設定は難しいだろうしね、、、

 

看護師:そうね。継続を希望してお金を支払う限り、43歳でも44歳でも、トライ自体はできるから。

 

檸檬紅茶:そう考えるとさ、体外受精っていう技術自体、本当に必要なものなのかな。そういう技術があるから、終われないわけじゃん。

 

看護師:それは何とも言えないよ。だって、そういう技術って他にもたくさんあるでしょ。原子力発電だって、そんな技術自体がなければ福島の事故はなかったわけだけれど、実際にもう技術自体は存在しているわけで。

 

檸檬紅茶:まあ、原爆とかもそうだしね。

 

看護師:でも、原爆を落とされていなかったら大規模な地上戦になって、犠牲者はもっと増えただろうっていう話も聞いたことがあるよ。原発だって、完全に止めた場合の日本経済へのダメージはものすごいらしいし。

 

檸檬紅茶:どの技術が必要か不必要か、どういう選択か正しいのか、そんなことは案外わからないものだということだね。

 

看護師:そうよ。エガス・モニスが推し進めた精神外科なんかは分かりやすい例ね。今考えればとんでもない話だけれど、当時は画期的だと考える人がたくさんいたし、彼はノーベル賞までもらっているんだから。

 

檸檬紅茶:医学って常に進歩している感じがするけれど、確かにそういう歴史もあるんだよね。最近では、将来を見据えて若いうちに卵子を凍結保存する女性が増えているらしいけれど、そういうのも最終的にどうなるんだろうね。

 

看護師:でも、状態の良い卵子や受精卵があるということと、しっかり着床するかどうかはまた別の話なわけで、保存しておいたからといって、それで将来確実に妊娠できるわけではないよ。まあ、若くて健康な女性のお腹を借りて代理出産なんて選択肢もあるのかもしれないし、将来もっと技術が進歩しているのかもしれないけれどね。

 

檸檬紅茶:なんかもうさ、きっと近い将来、自分の細胞だけで卵子と精子作って受精卵作って誰かに産んでもらう、なんてのも可能になるんじゃない?(笑)

 

看護師:私は詳しくないけれど、もしかしたらもう既に動物実験のレベルでは成功していたりして、、、

 

檸檬紅茶:なんかもう歯止めがかからなくなりそう、、、

 

看護師:そうね、、、って、えっ、もうこんな時間じゃない! 早く帰ってご飯の支度しなきゃ。もうあの子達帰ってきてるわよ、、、

 

檸檬紅茶:あっ、ごめんごめん。思いの外長くなっちゃったね。

 

看護師:未来に想いを馳せることも大切だけれど、生きていれば何があるかわからないし、「明日」なんて本当にやってくるかわからないのよ。だから、目の前にいる人を大切にして、その日一日を一生懸命生きることが最も大事なの。若い頃に癌患者さんばかりの病棟で緩和ケアに携わったことがあるんだけれど、あるおじいちゃんが亡くなる数日前にそう言っていたわ。ってことで、それじゃあまたね。

 

檸檬紅茶:(「明日」なんてやってくるかわからない、、、か、、、)

 

後書き


う〜ん、、、難しい、、、
本当にめちゃくちゃ難しい、、、

 

この話題、難し過ぎるせいか、日本では法整備も全然進んでいなくて、政府も日本産科婦人科学会に丸投げしてしまっているのが現状です。例えばこの学会は、「体外受精でできた胚を複数同時に移植してはダメ」みたいな感じでルール作りに取り組んではいるようなのですが、強制力はありません。ですから、患者さんに懇願されて複数の胚を移植して結果的に多胎妊娠、なんていうケースはきっとあるのではないでしょうか。そういうのがあってもまずバレることはないでしょうし。

 

兎にも角にも、不妊治療を受ける側にも色々とあるだろうし、医療従事者サイドとして、どこまでやってOKかという問題もあるわけです。

 

今回は、議論のスタート地点にしたいという狙いもあってこのような記事を書きましたが、また機会があれば積極的に掘り下げていきたいなと思っています。

 

(※2018年4月5日追記)

関連するニュースを以下の記事で紹介していますので、興味のある方はこちらもご覧になってみてください。

 

taiwanlover.hatenablog.com